第5章 シーケンスの扱い
5.1 シーケンスとは
シーケンスとは、複数の値を順序に沿って並べた集合のことです。複数の値をまとめて扱えることで効率的なプログラムを作ることができます。
シーケンスの代表的なものにはリスト、タプルと文字列があります。固有の処理についてはそれぞれの章で解説しますが、まずはシーケンスで共通の処理について見ていきます。
5.2 要素へのアクセス
シーケンスを構成する1つ1つの値を要素といいます。
5.2(1) インデックスでのアクセス
シーケンスの要素のひとつを参照または代入するにはシーケンスに角カッコ([ ])を続け、中に順序を表す数値(インデックス)を書きます。インデックスは0から始まります。
# リスト型の変数x x = [10, -5, 12.3] y = x[1] print(y)
-5
5.2(2) スライス
シーケンスの一部を取り出すにはスライスという記法を用います。インデックスと同じようにシーケンスに角カッコを続けますが、中には「開始インデックス:終了インデックス」を書きます。終了インデックスにはその要素を含まないことに注意してください。
# 文字列型の変数s s = "abcdefgijk" t = s[3:6] # sの4番目から7番目の前まで print(t)
def
5.3 繰り返し処理
シーケンスを使う大きな理由のひとつに繰り返し処理があります。同じ処理を異なる値に適用したい場合、シーケンスによって効率的に記述できます。
繰り返し処理にはfor文を用います。
for 変数 in シーケンス: 繰り返す処理(ブロック)①
このように記述すると、シーケンスの要素をひとつずつ変数に代入しながら①の処理が要素の数だけ何度も実行されます。
例えば、購入した商品の税抜き額が与えられたとき、その税込み額を表示するプログラムを作るとします。
繰り返し処理を使わなければこのようになります。
price1 = 100 price2 = 150 price3 = 600 taxed1 = int(price1*1.08) print(taxed1) taxed2 = int(price2*1.08) print(taxed2) taxed3 = int(price3*1.08) print(taxed3)
108 162 648
計算と表示の部分は変数名が違うだけで、処理の形は同じですね。これを繰り返し処理で書き直すと次のようになります。
prices = [100, 150, 600] for price in prices: taxed = int(price*1.08) print(taxed)
108 162 648
繰り返しが排除されてすっきりしました。